空色のスポーツカー

空色のスポーツカー

空色のスポーツカー

「私、スポーツカーが欲しいのです」と、S子は言った。「でも、私には財産は無いし、私の月給ではとても買えません。そんな私でも、阿頼耶識で、スポーツカーが手に入るでしょうか?」「入りますよ」と私は答えた。

「ただし、いつまでに入ると、期限を切るわけにはいきませんけどね」「どうすればいいんですか?」「まず、欲しい物の姿、形、内容について、はっきりさせる必要があります。そのスポーツカーの車種は何ですか?」「え−と、ニッサンのフェアレディですけれど・・・」「その車の色は?」ちょっと、S子は戸惑ったが「え−と、空色です」と答えた。

「なるほど」ここで私はアドバイスをした。「まず、できるだけ、そのフェアレディの情報を集めることです。パンフレットや、できたら試乗運転をするのが一番です。そして五感を通して、その車を自分の心に印象づけるのです。つまり細かい点まで記憶するのです」S子は手帳を出して、私の言うことをメモしている。

「そして、夜寝る時、ベッドに入ったら、一分間でいいから、そのフェアレディを運転している空想をするのです。あたかも、ありありと本当のことのように、すでにそのフェアレディが自分のものとなって運転している、と想像するのです。これを毎晩続けてごらんなさい」

三週間後、私は突然、S子から電話を貰った。「先生、私、フェアレディもう手に入りました」私は驚いた。そのいきさつは次のような次第である。彼女の上司が、突然、アメリカへ転勤になった。彼はフェアレディを所有していたのだが、この車を破格の安値で、しかも、月一万円の月賦という好条件で、彼女にゆずってくれたのだった。

月賦の金額は、彼の鎖行口座へ振り込んでおくことで、即座に彼は車を引き渡してくれたのだ。そして、驚いたことに、そのフェアレディの車体の色は空色だったのである。

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